言い値書店が開設一周年となりました。言い値書店は、オンライン電子書籍販売ストアですが、無料から2000円の範囲で、購入者が払いたい金額を払うことができる、という特色があります。
似たシステムのサイトにはLeanpubがありますが、こちらは販売者が最低価格を設定することができるようです。
詳細なデータは言い値書店 データブック 2013-2014で公開されています。これを読む限り、まだまだ利用者は少ないなあ、という印象です。
アマゾンにしろ、楽天にしろ、元々オンラインショッピングを運営していて、電子書籍にも参入しています。他の電子書籍ストアも、出版事業を行いつつ、という所が結構あります。純粋に電子書籍の販売だけ、となると集客や宣伝が難しいかもしれないですね。
言い値書店を支持する理由
アマゾンのキンドルダイレクトパブリッシングと比較すると、言い値書店のほうが小回りが効く、と思います。言い値書店では、ファイル形式はpdf,epub,mobi,zip等が可能です。また、書籍を更新した場合に、プッシュ通知に対応しているのは嬉しいですね。購入者は、購入した書籍が更新されたときに通知を受け取ることができます。(受け取らない設定もできます。)書籍の更新をしたとき、通知できるのは、著者読者双方に嬉しいと思います。IT系の書籍だと、ちょくちょく改訂することがあるので、この仕組みは良いですね。
しかし、個人的には「購入者が払いたい金額を払う」という所が面白いと思いました。紙の書籍だと、物理的な都合があり、「0円から2000円の範囲でご自由に」というのは難しいと思います。この仕組みは電子書籍ならではだなあ、と思います。ただデータブックの売上からすると、初年度はサーバー代を払ったら赤字らしいですが。
有料で購入されるのか?
少なくとも私の販売しているWordPress Advanced Custom Fields の使い方は、有料購入者が結構います。有料購入すると、おまけが手に入ることも理由にあげられると思います。
扱っている内容の影響も大きいと思います。この本は、WordPressのプラグインについて書いた本です。WordPress本体が無料ということもあって、WordPressプラグインは完全無料のものが多いです。しかし、Advanced Custom Fieldsプラグインは、有料アドオンがあります。Advanced Custom Fieldsプラグインに似たプラグインで、完全無料のものもあるようですので、「有料は嫌だ、無料で手に入れたい」という人は、あえてAdvanced Custom Fieldsプラグインを使わなくても良いでしょう。それにも関わらず、Advanced Custom Fieldsプラグインを使う、という人は、私もその一人ですが、「良い物ならお金を払う」という人が比較的多いのだろう、と思います。このため、
私の書籍の読者層に「良い物ならお金を払う」という人が比較的多い → 書籍を有料で購入する人が多い
という可能性が考えられます。とはいえ、このあたりは、書籍の内容によって異なりそうです。なので、言い値書店は万人向けのサービスではないかもしれません。しかし、言い値書店のユニークな仕組みが生かせる場合、言い値書店で出版したら面白いと思います。