※この投稿はWordCamp Kansai 2014のリレーブログ(2日目)として書いています。
WordPressが様々な言語で使える理由
まず、WordPressが様々な言語で使える理由をざっと説明しておきます。WordPressのファイルを見た人は、
__('You do not have permission to upload files.')
や
_e('Discard any changes and restore the original image.')
のような記述を目にしたことがあると思います。この __ や _e は、文字列をそれぞれの言語に訳す処理を行ってくれます。このため、ソフトウェアを訳すのに、プログラムファイル本体を書き換える必要はありません。もちろん本体を書き換えてもメッセージを変更できますが、メッセージの箇所を調べて変更するのは手間がかかります。
WordPressでは、本体を書き換える代わりに、それぞれの言語の訳(たとえば「You do not have permission to upload files.」には「ファイルをアップロードをする権限がありません。」)を用意する事で、英語だけでなく様々な言語で利用することができます。もし、自分の使いたい言語の対訳が用意されていなければ、自分で作ることでその言語に対応させることができます。
対訳ファイル
対訳ファイルは、.poと呼ばれる形式になっています。
msgid "You do not have permission to upload files."
msgstr "ファイルをアップロードをする権限がありません。"
のように、原文と訳文を並べて記述していきます。このようなファイルを手作業で作っていくこともできますが、手間がかかります。WordPressでは、この対訳ファイルを作成するときに、GlotPressを使います。
GlotPressとは
GlotPressとは、ウェブブラウザ上で翻訳作業を行っていくソフトウェアです。GlotPress自体はWordPressと同じくGPLver.2ライセンスで配布されているので、自由に使うことができますが、WordPressの翻訳には、wordpress.org上にインストール済みのものを使用します。
現時点ではWordPress3.9は日本語訳が完了しているので全部訳されています。新しいバージョンが出る前には、英語の文が追加されます。英語の文が追加されたら、対応する訳を追加していきます。全ての文が訳されれば完成です。
その他のオープンソースプロジェクトにも同様の仕組み
このようにWordPressでは共同作業で翻訳する体制が整っています。その他のプロジェクトでも、GlotPressではないですが、似た仕組みを使って翻訳作業を行っています。
筆者が関わっているプロジェクトの例をあげると、concrete5ではtransifexというサービスを採用しています。またNovius OSではPootleシステムを自前でホスティングしています。
日本語版作成に参加する
さて、日本語訳ですが、自然にわいて出てくるのではありません。なぜ日本語に訳されるか、というと、有志が訳しているからです。参加するのは簡単です。WordPressの翻訳から、未翻訳のものを探し、訳を記入していけばOKです。GlotPressのアカウントはWordPressフォーラムのアカウントがそのまま使えます。
WordPress日本語版作成に参加し、GlotPressのシステム上で翻訳が一件以上ある方は、管理画面にクレジット表示されます。WordPress3.9の日本語訳に関わった方々のリストです。
Seisuke Kuraishi (tenpura)
Tai
Takayuki Miyoshi
Naoko Takano
odyssey
Mako
Daisuke Takahashi(Extend Wings)
Rescuework Support
日本語版を早く使いたい、という人は、日本語版作成に参加すると、より早くリリースされるでしょう。
[…] Marko Heijinenさんは、WordPressの日本語版作成に使われているGlotPressの開発者で、WordPressのコアコントリビューターです。GlotPressは、ウェブブラウザ上で翻訳作業を行っていくソフトウェアです。「GlotPressって何?」という方はこちらをご覧ください。 […]