Drupalビジネスコンソーシアム第1回に参加しました。サイオステクノロジー株式会社の会議室で開催されました。
OSSを使って、どうやって顧客サービスを向上させるか
開発者にはOSSのメリットデメリットが明快に説明しやすいと思います。しかし、顧客にとっては、「OSSかどうか」は、さほど重要ではありません。(もちろん、ベンダーロックインを避ける、という意味はありますが。)
顧客にとっては、OSSであれ、商用製品であれ、「導入することによりどんなメリットがあるか」が重要です。ウェブサイトであれば、Drupalを導入すると、運営の負担軽減や更新の容易さ、といったものが直接的なメリットとしてあります。その結果、ビジネスのスピードをアップする、ということになるわけです。
単純な例でいえば、「更新が楽」→「新製品を作ったときに自社のウェブサイトですばやく告知できる」というわけです。
多言語対応
日本にある企業だからといって、日本語だけでよい、とは限りません。大きなイベントとしては東京オリンピックがあり、そのときに外国人が多く来る、というのも理由にあげられるでしょう。しかし、すでに、東京でも名古屋でも、電車に乗ると外国語で話している人がいる、というのが日常になっています。
ウェブサイトが日本語だけ、というのは今後は減り、多言語での情報発信が一般的になっていくでしょう。そういったときに、(アドオンやプラグインではなく)ソフトウェア本体が多言語を想定して作成されている、というのは重要になってくるでしょう。(もちろん、個人ブログなので多言語対応いらない、というケースもたくさんあるでしょうけど。)
バージョンアップ
Drupalに限った話では無いですが、ソフトウェアのバージョンアップは悩ましい問題です。Drupalでは古いバージョンが比較的長くメンテナンスされていますが、いずれメンテナンスされなくなります。なので構築するだけでなく、その後の保守/アップデートもきちんと考えて導入しなければならないですね。
セミナーでは、「アップデートせず、古いバージョンを有償でメンテナンスしてもらう」という方針もありますよ、と紹介されていました。Drupal7 → Drupal8への移行はかなり大変そうなので、この方針もありかもしれません。
GPLへの懸念
質疑応答のときだったと思いますが、GPLライセンスであることへの不安というか懸念を持つ顧客の話がありました。GPLライセンスは条文も長くややこしいです。またメリットがイマイチ分かりにくいという問題もあります。既に関わっている人からすればGPLの良い点も悪い点も分かっているでしょう。また、どんなライセンスにも多かれ少なかれ良い点も悪い点もありますから、GPLだから特に気にする、というものではないです(どんなライセンスであれ、概要を調べて利用する)。とはいえ、これから関わる人には分かりにくいと思います。
GPLに限らず、「既に関わっている人の視点」と、「これから関わろうか検討している人の視点」とはまた違うものである、とあらためて感じました。
以下は、セミナーで聞きながらとったメモです。
売上増大。顧客サービスの質的な向上。(単なるコスト削減ではない)
一からフレームワークで作るという方法もあるし、Drupalを使う方法もある。
Drupalで効率よく作ることで、顧客のビジネスをより良くしていく。
コスト削減よりも、ビジネスのスピードアップへ活用する。
Paas環境を日本に。日本の市場を広めたい。
東京オリンピックで日本に関心を持つ外国人が増える。多言語対応が必要。
障碍者に対応するユーザビリティ、アクセシビリティ。
Paasの中核として、「Drupal+アドオン」が生きる。
Drupalは大規模サイトでよく使われる。
ホワイトハウスやNASA(アメリカ航空宇宙局)で使われている。
業種に特化したディストリビューション。200以上ある。電子商取引用、社内サイト用、社外向けサイト、メディア企業用、公共機関用、など。
Drupal8、多言語、アクセシビリティ、ウェブサービスを展開できる、Twigテンプレート採用
海外では業種ごとに、モジュールをまとめてパッケージ化したものがある。
満足できるモジュールが無ければ、より良いモジュールを作って標準化する、という方法も。
古いバージョンをサポートしてほしいなら、有償サポートを買うのが好ましい。