はじめてのフレームワークとしてのFuelPHP 改訂版を頂きました。電子書籍から紙の本になった、という、珍しい書籍です。
FuelPHPの環境構築から、実践的なアプリケーション作成まで
環境構築では、MAMP/XAMPPと、Vagrantが取り上げられています。通常の書籍だとこの辺は端折っていたり、書いてあっても少し、ということが多いですが、本書ではかなりページ数を割いています。また最近の流行はVagrantですが、MAMP/XAMPPがとっつきやすいでしょうから、どちらも取り上げてある、というのはすばらしいですね。
入門編では、フレームワークの概要を学びます。モデルや処理フローの箇所では図入りの説明なので、理解しやすいのではないかな、と思います。
実践編では、実際にメールフォームを作成しながら、フレームワークの学習をしていきます。特別な機能があるメールフォームではありませんが、SimpleAuthを使って管理画面を作るまでを行います。最後までいけば、実用的なメールフォームが作れるようになると思います。(私は11章まで終わったところですが。)PHPUnitについても説明があります。作成の途中でテストコードを書いていくので、テストの書き方を学ぶのにも役立つのではないかな、と思います。
フルカラーで読みやすい
フルカラーで読みやすいです。実践編ではコードを書きながら学習を進めるのですが、このときに変更点が
- $val = $this->forge_validation();
+ $val = $this->forge_validation()->add_callable(‘…’);
のように、分かりやすく表示されるので、読みやすいです。
バージョンアップでの変更点が紹介されている
「フレームワークをはじめて学ぶ」というコンセプトなのですが、FuelPHPのバージョンアップ時の変更点がところどころで紹介されています。既にFuelPHPを使っている場合、バージョンアップして「あれっ、変だな?」となることがあるかもしれません。そういったときに、変更点があるのは嬉しいと思います。
特に、composerの部分の解説はFuelPHPの既存ユーザーにとって役立つのではないかな、と思います。composerはパッケージ管理ツールで、最近の開発では用いられることが多いです。FuelPHPでは1.6系からcomposerを使うようになり、初期からFuelPHPを使っていると戸惑いやすいポイントなので。
Eventの説明でtestというメソッドが出る
Eventの説明でtestというメソッド(正確にはevent_test)が出てくるのですが、テストといったらユニットテスト等を思い浮かべるのでは、と思いました。名前がtestだからといって特別問題が生じるわけではないですが、あえて同じにする必要はないと思いました。event_mysampleとかでよかったような気がします。
本書で足りない部分は公式ドキュメントでカバーする
FuelPHPの機能をリファレンス的に紹介する本ではありません。本書で取り上げられていない機能が結構あります。たとえば、
- Asset (JavaScript、スタイルシート、画像を表示)
- Upload (ファイル処理)
- Pagination (データが多いときのページ送り)
などです。実際にウェブサイト/アプリケーションを作るときには、これらの機能を使うと思います。なので、公式ドキュメントも読むのが好ましいでしょう。
PHPの基礎は必要
本書は、「PHPの基礎は学んだが、フレームワークを使ったことがない」という人向けです。PHPの基礎を学んだ方のステップアップにはちょうど良いでしょう。PHP自体がはじめて、という人は、まずは「イラストでよくわかるPHP はじめてのWebプログラミング入門」あたりからはじめましょう。