concrete5を体験する会を開催しました。の続きです。
ウェブサイトを制作するツールとしては、WordPressが最も利用されています。なので、WordPressを題材にする、というのも有力でした。しかし、WordPressではなくconcrete5を体験する会にしました。concrete5 コミュニティリーダーに認定された、という理由もありますが、それだけではありません。
WordPressは、ウェブ制作のプロには便利
WordPressは自分で好きなようにカスタマイズすることができます。様々なプラグインが公開され、共有されています。プラグインはそのまま使うだけでなく、自分好みにプラグインをカスタマイズしたり拡張したりすることができます。例えば(独自開発部分を自分でメンテナンスする必要はありますが)「確認画面の無い問い合わせフォームプラグインに確認画面を追加する」といったことが可能です。また、管理画面も、自分でセキュリティ対策をするのであれば、自由に管理ページを作っていくことができます。
このように、WordPressで制作すると、カスタマイズの自由度が高いです。小回りが効くため、お客様の満足度を高めたいウェブ制作者、またコンピュータに詳しくて自分でカスタマイズしたい方にとっては、WordPressが非常に便利でしょう。
しかし、WordPressの持つ、「利用者の裁量の範囲が広いため自由にカスタマイズできる」という特徴は、一方でデメリットにもなります。
WordPressは操作方法が統一されていない
WordPressのプラグインには統一的な操作方法が確立されていません。ガイドラインがあるものの、登録時に厳密にチェックされているわけではありません。このため、プラグインをカスタマイズする場合のお作法はプラグイン毎にバラバラになっています。
たとえば、プラグインの中にはHTML形式でデータを出力するものがあります。このとき、出力されるHTMLのフォーマットを変えたい、という場合があるでしょう。しかし、統一的な方法がありません。
- 管理画面に設定欄があり、HTMLタグを入力する
- フィルターフックを使う
- 力技を使う(ob_startや、プラグイン自体の書き換え等)
等、プラグイン毎に異なる方法でカスタマイズしなければなりません。
もっというと、本体の機能でさえ、設定方法はバラバラです。
- ブログの本文は「投稿」から編集する
- サイドバー部分は「外観」「ウィジェット」から編集する
- 1ページの記事数は「設定」「表示設定」から編集する
などです。WordPressが少しずつ改良を重ねてきた、というのも理由の一つでしょうけど、初めてWordPressを触る人には面倒くさく感じられるかもしれません。
元々ウェブサイト運営をしていて、更新を楽に行いたくてWordPressに興味を持ち、今ではWordCampで発表している、という方もいます。なので、もともとパソコンに興味がある人には「操作性の統一性が無いこと」はたいしたことではないかもしれません。しかし、パソコンに詳しくない人には障壁となるかもしれません。
concrete5の操作方法
では、concrete5はどうでしょうか。操作方法は基本的に統一されています。concrete5はブロックが編集の単位ですが、編集したいブロックを選択する → ブロックの中身なら「編集」、ブロックの見た目なら「デザイン」、と決まっています。
テーマ・アドオンも統一的に
concrete5自体のUIだけではありません。テーマを変更したりアドオンを追加したりした場合でも、操作が統一されています。公式ディレクトリに登録するときに、機能だけでなく、操作性もチェックされるからです。
もちろん、これは、「ある程度決められたルール内で開発する」ということですから、開発者にとって制約となる可能性もあります。「自分の好みに最適なプラグインを作る/探す」という楽しみは、concrete5では体験できないかもしれません。しかし、パソコンに詳しくない人にとっては、この方が好ましいと判断しました。
優劣ではなくて、向き不向きの問題
WordPressとconcrete5の違いをみてきました。しかし違いを知るのは、WordPressが良いのか?concrete5が良いのか?という優劣を競うためではない、と思います。あくまで向き不向きの問題をよりよく知るために、WordPressとconcrete5を比較しています。
WordPressはどちらかというと、「WordPress/HTML/CSS/PHPについて勉強してでも、自分(お客様)の好みに適するようにカスタマイズしたい」方向に向いています。一方でconcrete5は、その方向性を持ちつつも、「ツールの詳細を勉強しなくても、一定水準のウェブサイトが作りやすい」という面もカバーしています。中小企業のネット活用 – 名古屋市天白区八事というウェブサイトは、基本的にコードをいじらないで制作しています。
個人事業主の方、起業家の方、中小企業診断士、公認会計士、弁護士、司法書士、行政書士等の士業の方は、ウェブ制作における役割分担をごらんいただくと、concrete5の価値がよく分かると思います。
ということで、「ウェブ制作のプロではない人が体験するツール」としては、concrete5が良いだろう、ということで、concrete5を体験する会にしました。